カナダの最新チップ事情:物価高騰とチップ疲れ(tip-flation)の影響

2025年7月12日土曜日

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最近、カナダの物価高騰が続いており、それに伴って「チップ疲れ」や「チップ離れ」が進んでいるという話をよく耳にします。実際、私の感覚では、レストランやヘアーカットでは必ずチップを払いますが、スターバックスのコーヒーショップでは払わないか、小銭程度。マクドナルドのファーストフード店ではチップは払わないことが多いです。

最近、どの場面でも「チップを要求する決済端末」が増えており、この現象は「チップ疲れ(tip-flation)」として社会問題にもなっています。消費者にとって、サービスを受けるたびにチップを要求される状況がストレスの一因となっているのです。

私は冬の間、スノーボードのインストラクターをしているのですが、近年、レッスン料金の上昇に伴い、チップを支払わない人が増えているという実感があります。実際、私の経験では、チップを支払う生徒さんは全体の10%〜20%程度にとどまっています。スキーやプライベートレッスンのインストラクターは、より多くのチップをもらっているようですが…。

そこで、このカナダのチップの最新事情が気になり、いろいろ調べてみました。


📊 カナダ人がチップを支払うサービス:最新の傾向まとめ

サービスチップ支払いの傾向備考
🍽️ テーブルレストランほぼ全員(99%)平均15〜20%。支払い端末が高額チップを推奨するケースが多い。
🍷 バー多くの人が支払う1杯ごとに$1程度、または総額の15〜20%。
☕ カフェ(サービスあり)約30〜40%が支払う注文・片付けをセルフで行う店舗ではチップを省略する人も多い。
🍔 ファストフード/テイクアウト少数(約20%)チップ端末が表示されても無視する人が多数派。
🚖 タクシー・ライドシェア半数以上(60%前後)10〜20%が目安。アプリ決済時に選択肢が表示される。
💇‍♀️ 美容院・理髪店多くの人が支払う15〜20%が標準。
🏨 ホテルの客室清掃約30〜50%が支払う1泊につき$2〜5程度を枕元に置くのが一般的。
💅 マッサージ・スパやや少数派(13%程度)サービス料込みの場合もあるため要確認。
📦 フード系配達(Uber Eatsなど)多くの人が支払うアプリ内で10〜20%を設定するのが主流。
📬 郵便・宅配便(Canada Post, FedEx等)❌ 支払わないのが常識企業配送・公的サービスはチップ文化なし。対面時でも不要。


最新の傾向:カナダ人がチップを支払うサービス

カナダでは、特にレストランでほぼ100%の人がチップを支払っています。チップの平均額は15〜20%とされていますが、サービスが良ければ、20%を超えることも珍しくありません。個人的には、サービスが良ければ15%以上を必ず支払うようにしています。逆に、10%の場合は、サービスに不満を感じることが多いです。

特にカナダ人やローカルの人々はチップを支払う傾向が強く、チップ文化がない移民の方や旅行者は10〜15%の範囲で支払うことが多いようです。しかし、カナダに来た際は、15%以上、できれば20%を支払うことが礼儀だと理解しておくと良いでしょう。


大人数で行くレストランではチップが含まれている場合が多い
大人数での食事では、すでにチップが含まれているケースが多いです。カナダでは、6人以上のグループに対してチップが18%程度自動で加算されることが一般的です。これはスタッフの負担を軽減し、サービスの質を確保するために実施されています。

ただし、このルールはレストランや店舗によって異なる場合もあるので、事前に確認しておくことをお勧めします。また、チップが自動で含まれている場合でも、サービスが特に良かった場合には、別途チップを追加することができます。

基本的には、すでに18%のチップが含まれている場合、追加でチップを払う必要はありません。

コーヒーショップやテイクアウトでのチップ事情
最近、カナダではコーヒーショップやテイクアウトのお店でも、現金以外の支払い方法、特にクレジットカードやデビットカードが主流となっています。以前はジャー(瓶)に1ドルか2ドル程度のコインを入れるだけでしたが、現在ではカード支払いの際に、20%、15%、10%などのチップ支払いオプションが表示され、戸惑うこともあります。しかし、ここでは勇気を出して(?)0%を選んでも問題ないと思います。そして、もしジャーがある場合には、少しのコインを入れてあげるのも一つの方法です。

とはいえ、端末機で表示される0%や「チップなし」の選択肢に戸惑う旅行者も多いでしょう。海外での電子決済は慣れない部分も多く、特に初めての体験では迷ってしまうこともあります。そんな時は、あまり深く考えず、一番安いチップを選び、「勉強代」として割り切るのも一つの方法です。そして、次回はその経験を活かして、もっとスムーズに対応できるようにしてみましょう。

ホテルでのチップ事情
ホテルに泊まった際、自分で荷物を運べるのに、ポーターが来て部屋まで運んでくれることがあります。そんな時のために、チップ用に2ドルコインを持っておくと便利です。

インストラクターのチップ事情
次に、私がいただく立場であるスキーやスノーボードのインストラクターに対するチップ支払い統計について調べてみました。実際のデータは以下のようになっています。

🎿🏂 カナダのスキー/スノーボード・イントラに対するチップの支払い率【2024–2025年版】(ウィスラー向け)

レッスンタイプスキー(Whistler)スノーボード(Whistler)備考
プライベートレッスン90〜100%70〜90%高額レッスンでチップ前提。
グループレッスン(大人)20〜30%10〜20%スノーボードは低め。
キッズレッスン(キャンプ)30〜50%20〜40%最終日にまとめて渡されることも。


とはいえ、実際のところ、プライベートレッスンであっても、そこまでチップをもらうことはないような…。あくまで参考程度にしていただければと思います。

ちなみに、私が最も多くいただくチップは20ドル札です。他の生徒さんの前で渡されると、チップを渡さなかった方が気まずく感じてしまうこともあるので、できればレッスンの帰り際などに、さりげなく渡していただけるととてもありがたいです。


まとめ

カナダとアメリカでは、チップ文化が異なる点もありますが、そもそもカナダではアメリカよりも最低時給が高い傾向にあります。アメリカの2025年の連邦最低時給は1時間あたり$7.25ですが、カナダ・ブリティッシュコロンビア州(BC州)の最新の最低時給は2025年6月1日から1時間あたり$17.85です。こうした最低時給の差は、北米でチップを払う文化が生まれた背景にも影響しています。かつてサービス業者に対してチップを支払う習慣は、低い最低時給が原因で生まれましたが、現在ではカナダの最低時給は日本よりも高くなっています。それでも、カナダでは物価や家賃が高いため、サービス業従事者にとって生活が難しい現実があります。このため、チップ文化は今でも根強く残っています。

カナダでは、特にレストランやサービス業で良いサービスへの感謝としてチップを支払うことが一般的です。最近では、チップを求める決済端末が増加し、"チップ疲れ"(tip-flation)という社会問題も生じていますが、カナダのローカルの多くは依然として積極的にチップを支払っています。サービス業に従事する多くの人々はチップを期待して働いており、サービスを受ける側としても15%以上のチップを支払うのがマナーとされています。カナダに初めて訪れる方は、ぜひこの文化を理解し、適切なチップを支払うよう心がけてください。

カナダに来た際には、この記事を参考にし、現地の文化を尊重してチップを支払ってみてください。最初は「もったいないな」と感じるかもしれませんが、実際にチップを渡してみると、不思議と気持ちが良くなるものです。


カナダのチップ文化に関する参考情報と統計データ:最新情報源一覧(この記事作成の参考にしたサイト)

  • Blueprint Financial – カナダのチップ文化は壊れている?
    📎 リンク

  • Global News – カナダ各地でのチップ平均値や傾向
    📎 リンク

  • Newswire Canada – カナダ人の62%がチップ端末にプレッシャーを感じているという調査
    📎 リンク

  • Radical Storage – カナダのチップガイド
    📎 リンク



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自己紹介

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1990年にワーホリで来て、その後、カナダで結婚。二人の子供がいます。 現在は、冬の間はウィスラーでスノーボードのインストラクターをしていて、また年間を通してスノーボード・ブログhttps://dmksnowboard.com/を運営、またスノーボード関連ブランドの 日本代理店フィールドゲートで働いています。 会社は東京にありますが、日々オンラインで海外ブランドとのやりとり、PR事業などを行っています。 時間がある時に、こちらのブログをアップし、これからカナダに来られる人に向けて現地からためになる最新情報を配信していきます。

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