この時期、ウィスラーの林道を散歩していると、たくさんのマッシュルームを見つけることができます。
その中でも、日本人のみなさんが、ぜひ見つけたいのが松茸でしょう。
この時期のキノコ狩りでは、松茸以外にもいくつか食べられるキノコ類を見つけることができます。
個人的には、シャントレールの味が好きです。
松茸までいかないまでも独特な香りと味があり、バターなどで炒めるとおいしくいただけます。
しかし、マッシュルーム・ハンティングというテーマになると、松茸ほど楽しいものはありません。
この大きな森の中でも、松茸ほど王者ぶりを感じるキノコ類はないと思いのです。
松茸の気持ちになって、その理由を伝えます。
マッシュルーム・ハンティングの楽しさ
まずは、基本的なこととして、この時期のマッシュルーム・ハンティングの楽しさを伝えます。
僕は春になると、山菜採りもします。
カナダでは、こごみ、タラの芽、わらびなど見つけることができます。
山菜採りの場合は、松茸と違って、必ず同じ場所で生えています。
だから、採るのが簡単でつまらない。
松茸の場合には、長年培った知恵や感が必要です。
釣りの場合でも、同様な感覚が必要だと思いますが、松茸採りのように動き回るわけではありません。
松茸の場合には、採れそうなところを歩き回るので、良い運動にもなります。
そして何より、森の中は美しい。
毎日同じようなところを歩いても、天候も違えば、見ている風景も変化するという点において、まさに一期一会。
森から湧き出る水の音を聞きながら、その場でじっとして目をつむり、しばし「音」や「香り」を楽しむことがあります。
秋のマッシュルーム・ハンティングには、そういう楽しさがあるのです。
王者たる理由(1)匂い
松茸が採れる森は、あの松茸独特の匂いが漂って来ます。
こういう匂いが漂うと、「採れそう」という気持ちになります。
実際に、松茸に似ているようなキノコ類の匂いを感じても、松茸のような独特な匂いを嗅ぐことはできません。
松茸だけが祐逸無二の香り漂うキノコ類なのです。
王者たる理由(2)頭が凹まない
この時期、松茸を探していると、松茸に似た種類のマッシュルームを見つけることができます。
僕は勝手に「ニセ松茸」とか、言っているのですが、そのニセくんが、どうやらマツタケくんと同じようなところを好んで生えてくるのです。
しかも、マッシュの肉の感じも似ていて、色も似ているのです。
カナダの松茸は、日本のものとは違って、かなりホワイトなのですが、このニセくんも似たような色。しかし、松茸の方が若干、高貴なブラウンがあります。
ほんの若干なので、ほぼホワイトなのですが。
で、このニセくんとマツタケくんの大きな違いが、傘が開いた状態の頭のてっぺん。
松茸の方は、根性で凹みません。どれだけ開こうか、必ず真ん中は凸になっているのです。一方のニセくんは、大きくなって傘が開けば、必ず凹みます。
その凹んだ時に、土が付いたり、苔が乗ったりするわけです。
松茸だけは、凹まないので、僕はそうした姿を見ると、彼のプライドを見るような思いがします。
王者たる理由(3)大地と合体している
もしあなたが、松茸を探しているなら、おそらく先に紹介したニセくんを発見することでしょう。
その時、あなたは匂いを嗅ぎ、「違う」と判断し、また、傘の凹みを見て「違う」と判断することでしょう。
松茸を見つけた時には、「匂い」に感激し、高貴な凸を見て、オーラすら感じることになると思います。
そして、もう1つ忘れてならない松茸の特徴は、彼ほど大地と合体しているキノコ類はないということです。
松茸を見つけた時には、ひじょうに慎重になります。
なぜなら、他のキノコ類と違って、なかなか大地から離れてくれないからです。
「僕はここから出たくない!」
とばかりに抵抗します。
時々、松茸は大群で見つかることがあります。
そういう時は、大きなサイズで大地から出てしまったものから採るわけですが、どの松茸もまるで定住の地を離れたくないとばかりに、抵抗するものです。
開いてしまったおじいさん松茸は、比較的に採りやすいですが、まだ傘が開いていない若い松茸は、もの凄い抵抗を見せる時があります。
いくつか採った後に、小さな松茸を見つけることがあります。
そんな時、僕は「お父さん、お母さんは、旅立ってしまったけど、キミはご両親の分まで生きるんだ」
と語りかけるようにして、近くにある落ち葉など掛けて、ちょびっと出た白い頭を隠してあげます。
森の恵みに感謝しながら、秋の味覚を楽しむのが、マッシュルームハンティングの作法だと思うのです。
以上を持ちまして、僕が思う松茸が王者たる3つの理由になります。
最後に先日、愛犬チャーリーと散歩中に行ったマッシュルーム・ハンティングで撮影した時の動画をご紹介します。松茸採りをする方、ご参考にしてみてください。
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