カナダに来て、多くの日本人が感じることは、故郷でのおいしい食事ではないでしょうか?
家庭の料理しかり、1コイン500円で食べれる飲食店チェーン、またコンビニでの食べ物だって、カナダでは考えられないレベルの高さです。
だけど、こうして30年くらい暮らして思うのは、なんだかんだ言って「カナダでいただく食事が一番おいしいな」ということです。
その理由をご紹介します。
そもそも人が食事に対して、おいしく感じたり、そうでないと感じるという感覚は、それぞれの立場で違うものです。
ずっと前テレビ番組で、あるジャングルで長く暮らす日本人が、久しぶりにお味噌汁を飲んで、そのうまさに感動して涙するというシーンがありました。
あれは、凄く印象的なシーンでした。
何十年もジャングル生活していて、現地の人を助けていたような仕事をしていたという方だったと思います。そんな人に、日本から来たテレビ局スタッフが、お味噌汁を振舞ったのです。
言葉を失くし、涙を流しながら食べている姿に、思わずもらい泣きしてしました。
その人にとっては、忘れかけていた味。でも、身体は覚えていて、さぞかし心底おいしいと感じたことでしょう。懐かしいお味噌汁の味から、故郷の風景や匂いまで蘇ったのかもしれません。
日本の都会に暮らしていると、至る所においしい食事にありつけます。
一方で、毎日おいしい食事をいただいているので、その感覚が薄れるということもあることでしょう。
「お昼に何を食べようかな」
なんて考えるサラリーマンたちは「昨日は天ぷらいただいたので、今日は洋食でハンバーグ」なんて、いつもおいしい食事を探しています。
一方で、そうした人たちは、自分の身体がおいしいと感じる感覚を呼び起こすことをあまり考えていないように思います。
逆にストレスを感じて、やたらに炭水化物や油もの欲し、脳と身体のコントロールがうまくいっていない、ということもあるのではないでしょうか。
仕事帰りにビールを飲んで、その勢いのまま食事、最後はラーメンなんて。
カナダに住んでいる僕にとっては、それもちょっと羨ましい感じもするけど、身体に良くないですよね。もちろん、たまにならいいけど。こういうことをしょっちゅうやっていたら、健康を阻害し、食事を心底おいしいという感覚が失うような気がします。
カナダに住んでいると、アウトドア・パラダイスということもあり、身体をよく動かします。
僕自身は、朝の犬の散歩で近くの公園、林道を歩いたり、森に入ったりします。
買い物に行くのにマウンテンバイクで移動したり、冬はスノーボードして身体を動かします。
そんな生活をしていると、食事が本当においしく感じます。
特に朝散歩の後の朝食が大好きです。
よく目玉焼きを作るのですが、まずはフライパンの上にオリーブオイルを入れてます。卵を入れたら、同じフライパンにトマト、ブロッコリー、マッシュルーム、ズッキーニ、アボカドなど、適当に野菜も加えます。素材を生かすため、あまり炒めず、調味料は、塩、コショウのみ。
あとは炭水化物は控えめでベーグルは半分に、そして淹れたてのコーヒー。
朝の至福の時間です。
朝食は、静かに食べます。あまり音楽も聞かないし、テレビを見ることもありません。
「これらの食材は、どこから来て、どのように作られたのだろう?」あるいは、
「今日、自分はこの食事をいただくにあたり、相応しい仕事ができるのか?」
また、「今日はどんなイメージで仕事していくか?」そんなことを考えながら、食事を楽しみます。
頭の中でいろいろ考えているので、音楽とかテレビとか、他の情報一切なしで楽しめるのです。
朝食の後は、集中力高まる時間帯、そこで一気にデスクワーク。
冬は、スノーボードのインストラクターの仕事で、山に行きます。
僕だけでなく、近所の人たちも、よく身体を動かしている方たちが多いです。
日本の都会の生活は、仕事時間の拘束も長く、満員電車に乗ってストレスが溜まりがち。
なんとなくお昼時間だから、ランチをいただいて、夕食の時間となり、夕食をいただく。
夕飯が遅くて、朝食をあまりおいしく食べれなかったり。
日本では、世界でも一番おいしい食事をいただける場所ですが、逆にストレス社会で、自分の身体のコンディションが、食事本来のおいしさに向き合えないことがしばしば。
そこが問題点かな、と思うのです。
基本的には、「毎朝の朝食がおいしくてしょうがない!」「待ちきれない!」
そんな生活スタイルを目指すべきだと思うのです。
究極なおいしい食事とは、例えば苦労して登山した後のおにぎりと水筒のお水かもしれません。目の前には、美しい山々の景色が広がり、おにぎりを食べていたら小鳥がやって来て、こぼしたご飯粒を奪われたりして。そんな食事が一番おいしいのかな、と思います。
人は、おいしい食事を求めているけど、自分が本当においしいと感じるための状況作りをあまり考えないものです。
もちろん、日本でも田舎暮らしとか、生活環境の工夫でこうした境地に立つことができます。
でも、カナダに住んでいる方が、平均的に見てこうした暮らしをしやすいかな、と思うのです。
僕が、カナダの食事が一番おいしい、と思う理由です。
0 件のコメント:
コメントを投稿